十章
「バリスタ射撃用意!!目標、接近中のレイド部隊前面!」
「ハッ!」
フォンロンの激を受け兵士たちは即座にバリスタの目標をレイド部隊に変えた
「射撃態勢整いました!」
「よし、うてぇー!」
フォンロンの声と共に一撃必殺の神の矢が放たれた
バリスタの強力な矢がレイド部隊に向けた突き進む、まだレイドたちは気がつかない
バリスタの特徴は音よりも早く矢が目標に向かうこと
レイドたちが見たのは強力な光と吹き飛ぶ仲間のレイドであった
ドォーン!っと大きな爆発音と共に爆煙があがりフォンロンたちは歓声を上げる
「よーし!今のうちに撤退だ!例の仕掛けも忘れるなよ!」
「「「「了解!」」」」
足早にフォンロンたちは部隊を纏め撤退を開始した
なんとか態勢を立て直したレイド部隊であるが例の置き土産を拾ってしまう
「「「??」」」
谷間を抜ける途中、突如崖が爆発しその衝撃でがけ崩れを起こした
レイドたちはその状況を掴めぬまま僅かのレイドを残し岩の下敷きになった
これによって岩が壁となり事実上追撃不能となり
この間になんとかフォンロン達、殿部隊は辛うじて守護区域に辿り着いた。
「狼、良く無事に戻った」
フォンロンを迎えたのは先に到着していた朱狼であった
「再びまた会うとはな」
「ふっ良く言うぜ」
「ふっ・・・ははは」
「ははは」
「「あっはっはっはっは!!」」
二人は肩を組み大いに笑った、仲間たちも二人の笑いを見て生き残れたことを実感し歓声を上げた
「狼、これからどうする?」
「そうだな、モロクが落ちたとなると首都を狙って魔軍が動くだろう・・・」
「だな、魔軍総戦力は数千万とも数億万とも言われている・・・首都を守るのはミッドガルド近衛騎士団と俺達の傭兵団に新鋭の討伐軍・・・全てを合わせても300万前後が良い所だ」
「ふむ・・・首都進攻はどのくらいだと思う?」
「早ければ30日前後だな、それを見越して現在連絡を送り準備させている」
「そうか、なら俺はしばらく仲間と共に傭兵団より離れるぞ」
「どうするんだ?」
「残してきた仲間を拾いに行って来る」
「・・・・数は?」
「200前後だ」
「一人としては多いほうだが・・・全体としては少なすぎるな」
「あぁだから、俺の知り合いを掻き集める」
「わかった、兄者の好きにしてくれ」
「無論だ、お前達も俺達が到着するまで死ぬなよ?」
「当然だ」
「なら、誓いの儀式だ」
「おう」
フォンロンと朱狼は互いの親指を噛み、血を出した
『『我ら狼の名前を持つもの、この血の誓いに従い再び会い見えることをこの場に誓う』』
フォンロンと朱狼は互いの親指を合わせ血を混じらせ互いの甲に文字を書く
フォンロンが朱狼の甲に血で仲を書き
朱狼がフォンロンの甲に血で力を書いた
『『我らこの血文字消えるまでに再び集い、会い見えることをここに約束する』』
「再び会おう、朱狼」
そう言いフォンロンは手の甲に包帯を巻きながら血文字を包み込み手袋をはめた。
「再び会い見えるまで死ぬなよ?フォンロン兄貴」
朱狼も包帯を巻きながら答えた
「じゃあな、行くぞ・・・お前達」
フォンロンは仲間達に声をかけ傭兵団が集まっている前線基地より離れた
フォンロンたちは一路進路を北東に取った
「マスター?これからどうするんですが?」
「うちらのアジトに戻るんですか?」
「逸材集め?」
「・・・・・・・・」
フォンロンは仲間の問いにしばし答えなかった
「機嫌悪いのかな?」
「やっぱあれじゃないかな?モロクが陥落してしまったのが原因と思うよ〜」
「それが一番っぽいね〜」
後ろで仲間たちが喋っているが狼はさほど気にしてはいなかった、今は別のことを考えている
「狼?」
町がフォンロンの隣に付き顔を伺うようにして聞いてきた
「ん・・・・町か、どうした?」
「どうして黙ってるの?」
「?なにか言われたのか?」
「さっきからシェルフェさん達が色々質問してたよ?」
「そうなのか、まぁいい」
「そう」
町はそれ以上追求はしなかった
「町・・・俺は弱い」
「弱い?」
「あぁ・・・弱い・・・仲間も武器も・・・そして俺の力も」
「・・・・」
「だから俺は強くなってみせる、それが例え人から悪魔・魔人と呼ばれ恐れられようと俺は強くなってやる」
「狼・・・」
「町・・・俺についてくるか?」
「あ・・・うん!」
町の表情はぱぁっと明るくなり力強く頷いた
「やれやれ・・・」
「僕達」
「私達を除者にして惚気てるんじゃないっての〜」
後ろから掛けられた声にフォンロンと町は振り向いた
そこにはシェルフェたちが整列して立っていた
「私達はマスターと共にある、例えそのせいで死のうとも悔いはないよ」
「そうそう」
「( ゜゜)( 。。)( ゜゜)( 。。)うんうん」
「(*゚∀゚)*。_。)*゚∀゚)*。_。)ウンウン」
シェルフェの言葉に全員が頷いた
「そうか、これから頼む」
そう言いフォンロンは右手を握りこぶしを作りながら出した
シェルフェたちも同じように右手を出しお互いの拳を軽く当てた
これがフォンロンやシェルフェたちなりの信頼の誓いなのだ
「俺達はまずゲフェン南西に位置する小さな村を目指す」
「なるほど、あの子達を迎えにいくんだね?」
「そうだ、それに・・・・仲間たちにも声をかけないとな」
フォンロンはこれからのことを考えため息をついた
フォンロンの姿に町やシェルフェたちは苦笑いをうかべている。
フォンロン一行は当初の予定そのままに北東の村に向かって再び歩き始めた
第一幕完結
第二幕第一章につづく
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