第二幕 一章









フォンロンたちはゲフェンを目指して旅を始めて二日

ようやく目的地、ゲフェン南西に位置する小さな村へと辿りついた

その村は先の大戦で親を亡くし孤児となったもの、怪我を負い動けないものなどを集めて開いた村だ

この村には常時、傭兵団の兵たちによって守られており各家には専用の地下通路も設けられており万が一、魔軍が襲ってきても逃げられるように対策されている村である

「ただいま、みんな」

「「「「「おかえりなさ〜い!!」」」」」

フォンロンが戻ってきたのを知った村の子供たちが集まっていた

その一人一人に声をかけ頭を撫でる

他の面々も同じようなことをしている


「旦那、おかえりなさい」

そう言って来たのはこの村を守護している傭兵団の隊長を勤めるの男であった

「おぅ久しぶりだな、myyahさん 体の調子はいいのか?」

「時たま昔の古傷が疼くが概ね問題ない」

そう言いながらmyyahと呼ばれた男はフォンロンと握手を交わした。

「変わったことはあったか?」

「特にないな、モンスターどもも大人しいもんだよ。そうそう子供たちが最近、訓練しだしたぞ」

「ほぅ?」

「まぁみんな目標があるみたいで傭兵団に入りたいみたいだな」

「ふっwま、あの子らが大人になる頃には戦争なんてなくなってくれるとありがたいんだがな」

「そうだな」

お互い空を見上げながら笑った

「そうだ、あいつらはどうした?いないみたいだが」

「あいつらは今仕事で山に行ってる、なんでも珍しい鉱脈がでたらしくてな、その調査を兼ねて行ってる」

「そうか、ま〜ゆっくり待つさ」

「そうだな、あいつらは予定ではあと二日もあれば戻ってくるぞ」

「ならその間ゆっくり骨休めするかな」

「老けたか?フォン」

「うっせ」

myyahの嫌味も軽く返しフォンロンは仲間を連れ村の中央に位置する一番大きな建物に向かって歩き始めた
無論、子供たちは彼らの手に纏わりついたままであるがw


「長老、今戻った」

「うむ、今回は長かったの」

そう言いつつ長老の顔には笑顔があった


「まあまあ久しぶりに戻ったんじゃ、今日は宴といこうじゃないか」

「myyahたちが怒るぞ?」

「なにかまわんて、酒はやれんがご馳走は届けさせる」

「そうか」

長老はフォンロンを建物の奥に招き他の面々は子供たちにせがまれ遊び相手になっていた。





長老がいつも使っている部屋 一日の大半をこの部屋で長老は過ごす

「よっこいしょ」

その小さな掛け声とともに長老は床に腰を下ろし、フォンロンも静かに腰を下ろした。


「それでどうじゃった?」

「ひどいものだ、モロクは陥落・・・一月以内には首都に侵攻してくるじゃろう」

「悪いことじゃな、それで?どうするのじゃ?」

「世界各地に散っている爺さんと俺の仲間たちに連絡を取って面子を集める」

「ふむ、その手しかないの」

長老は囲炉裏の火をキセルに入れ一息吸い煙を吐いた。フォンロンも袋からタバコを出し火を灯した。

「勝てるか?」

「おそらく、だが勝っても負けたと同じだけの被害がでるだろう」

「苦しいことだな」

「そうだな、だがやらなければならない」

「そうじゃ」

「爺さん、アサシンギルドの連中を動かせるか?」

「あやつらをどう使うつもりじゃ?」

「情報収集」

「ふむ、あやつらにとって朝飯前の仕事だな・・・して?」

「首都を中心に半径50キロの魔軍の情報とフェイヨンの現在の情報がほしい」

「ふむ、わかった・・・6日まて、なんとかしてみよう・・・サイフォス」

「はっ」

長老がそう呼ぶとどこからともなく声が聞こえた

「(屋根裏か)」

フォンロンはその声の主の場所がわかった

「聞いての通りじゃ、総動員して情報を集めてくれ」

「承知」

そういい屋根裏にあった気配は消えた

「で、あいつらが鉱脈にいったと聞いたが・・・表向きだろう?」

「ふむ、鉱脈が見つかったのは事実じゃが裏はある」

「ほう」

「その鉱脈のあった洞窟が魔物の巣窟になっておっての、討伐にいかせたのじゃ」

「規模は?」

「中級が数匹と下級が数十」

「あいつらでも事足りるか」

「ま、そういうことじゃ」

「長老、お茶をお持ちしました」

突然、障子が開き一人の青年が入ってきた

「おぉすまんな、ありがとう・・・そう言えば紹介しておらなんだな、最近この村の仲間になった子で名を」

「セキハと言います、お見知りおきを」

「フォンロンというこの村の客?としてきている」

「フォンロンさまですか、では、失礼致します」

そういいセキハは障子を閉め長老の部屋より去った

「・・・・・・・」

「どうした?」

「・・・・いや、なんでもない」

「ふむ、まぁよい夜まで時間はある温泉にでもつかって疲れを癒してこい」

「そうしよう」

フォンロンは立ち上がり長老の部屋より去った

一人残った長老は塞ぎこんだまま

「まだ過去が忘れられぬのか?フォンロン」








そう言った長老の顔には悲しみの顔が張り付いていた































つづく