六章
進撃していた傭兵軍はあと僅かで魔軍と交戦しようとしていた
「朱狼〜〜〜〜!」
「ん?」
自分を呼ぶ声に気づき、声のした方向をみると少し離れた所から自分の名前を呼びながら近づいてくる者がいた
「なんだ、優か」
「なんだ?じゃない!ちょっとこれを見て、さっき伝達用にモロク軍に向かわせた鷹が急いで帰ってきたのこの紙を足に括られて」
優から渡された紙を見て驚愕した
「馬鹿な!?あれを使うのか・・・まだ試作段階もいいとこのあの兵器を・・・」
「どうする?」
「優、華さんに伝達『以後の指揮を全て任せる、当初の計画通りに進撃せよ』以上だ」
「ハッ、華参謀長に朱狼団長より伝達『以後の指揮を全て任せる、当初の計画通りに進撃せよ』」
「うん、頼むな」
「了解!」
優は敬礼したあと走って華参謀長の元へと向かっていった
「ヒース・・・」
「ここに・・・」
朱狼がヒースと呼ぶとその人物らしき者がすぐ傍らに現れた
「華さんの補佐をしてくれ、俺は直轄の兵を率いてモロクに先回りする」
「了解・・」
ヒースは頷くとすぐさまその場より消えた
「行くぞ!」
「ハッ!」
朱狼の呼びかけに後ろにいた朱狼直轄部隊が声を上げ付き従った。
更に混迷していくモロク戦・・・・
フォンロンは走っていた
道なき道をずっと
すると
「隊長、本隊より連絡『団長が別行動を取ったとのことです』」
女性聖騎士が先頭を走っているフォンロンに近づきそう伝えた。
「なに?当初の予定にはない行動だな・・・よし、KANATA・・・3名預ける、裏を取れ 裏が取れ次第こちらに戻ってこい」
「了解」
KANATAがケルベロス部隊より離れそれに3名の兵が付き従った。
「マスター、どうしたの?」
「わからん、だが・・・・・嫌な予感がする」
「(マスターの嫌な予感って当たるんだよね〜)」
「アオイ、敵を偵察に行った者からの連絡は?」
「・・・今の所、ありません」
「・・・・・そうか」
なんだ・・・この嫌な感じは?・・・この感じ・・・前にどこかで?
フォンロンの疑問に答えれるものはここにはいない・・・いや、どこにもいないだろう
「隊長、敵本隊予測位置まであと6キロほどです」
「わかった、全員走りながら聞け!」
フォンロンは速度を緩めず後ろも振り向かず
「敵本隊予測位置1キロ前で4部隊に散開・・・・1・2部隊は敵側面、3・4部隊は敵の背後を叩く」
隊員たちは声をださずに聞き入っていた
「いいか、敵の頭を潰すのが最優先だ・・・雑魚に構うな」
敵本隊と交戦まで・・・・あと8分
その頃、モロク軍は
「司令、避難予定市民・兵士の転移完了しました」
「そうか・・・我らも動くぞ」
グラエスが立ち上がりテントから出てある場所へと向かって歩き始めた
「はい、あれは既に南西の見張り台に強引に設置しました」
「よし、自動発射態勢に移行・・・標的、敵 魔軍中央部。標的ロック後、自動モードに移行次第作業員は退避させろ」
「は、兵の配備は?」
「城壁と・・・・【ドォーーン!!】 なにごとだ!」
突然巨大な爆発音と揺れを感じたグラエスは叫んだ
「報告!西門が突破されました!」
「なんだと!配置していた兵はどうした!」
「現在必死に抵抗しておりますが、突破は時間の問題かと・・・」
「クッ・・・・こうなってはもはや逆転など不可能か・・・」
グラエスの予想通り、魔軍は西門を破壊したあと鉄砲水のようになだれこんだ。
「西門は放棄!各配置している兵をすぐに中央に招集する」
「了解!」
すぐさま信号弾(この時代の信号弾は同時に上がった数と煙によって信号としていた)が打たれ、全配備兵はその配備場所を放棄しすぐさま移動を開始した
「返信!全方角より確認、移動完了は3分後!」
「1分だ!」
「了解!」
「シュエ、すぐに中央配置部隊を前面に押し出し敵を食い止めておけ」
「は、直ちに」
剣を抜刀しながらシュエと呼ばれた人物は敬礼し兵を引き連れ、苦戦しているであろう西門へと向かった
「最後の時が近いな・・・・」
グラエスの呟きは幸か不幸か誰にも聞かれず風に消された
つづく
Copyright © 2004 魔狼の住処 All rights reserved. [Powered by Novel Factory]