第一話

都心のとある居酒屋で二人の男性が、話に華を咲かせていた。

「やっぱガンダムは初代やろ?」

「いやぁSEEDも捨てがたいぞ?作品としては駄目駄目だけど」

居酒屋の酒の席で、アニメのガンダム話に熱を上げていた。
最初に発言した男性の名を【久崎 志津馬】と言う。
次に発言した男性の名を【深嶋 零】と言う。
実はこの二人、会ったのが今日が初めてである。
だが、付き合いはすでに数年にも及ぶ。
簡単に言えばネットゲームで知り合い、意気投合した間柄である。
そして、どちらが言い出したか不明だが会う事になりこうして出会ったのだ。

お互いがお互いの事を【ブラザー】と呼び合い、義兄弟の契りまで交わした猛者でもある。

まぁそれは関係ないので置いておくが……。


「しかし、この間まで学生だったブラザーが今じゃジャーナリストの卵とはねぇ」

「ブラザーこそ、シナリオライターの卵じゃないか」

他愛もない話を気兼ねなく話す。
この時、二人は確かに楽しかった。




だが、この時既に二人の運命の歯車が動き始めた事をまだ知らない。




「じゃ一気飲みいきまーーーっす!!!」


「「「「「「いっきいっきいっき!!」」」」」」

ブラザーと他の客が、志津馬の宣言に乗り煽る。
ジョッキに並々注がれたビールをゆっくりと口に持って行き、一気に傾ける。

「……ゴクッ……ゴクッゴクッ……」

「「「「「「おぉぉぉぉ」」」」」」

「……ゴクッ……ぷはぁーーーおやじぃぃ!おかわりぃ!!」

一気に飲み干した志津馬は、店主であるオヤジに空になったジョッキを渡す。

「あいよ!!兄ちゃん良い飲みっぷりだねぇ、ほれこいつはワシのおごりじゃ!」

「ありがとう〜!ブラザー!!お前も飲め!!」

「おうさ!ブラザー!!」

「「二人で一気飲みいきまーーーっす!!」」

「「「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」」」

そうして俺達は、記憶が無くなるまで飲み明かした。
今思えば、ここが分岐点だったかも知れない。








そして、気がついて周りを見ると。






そこは……。




牢屋でした!?








つづく