私の名前は──ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア
キムラスカ王国の王女でもあります。
私がその方に出会ったのは、私がまだ十二歳の時でしたわ……
テイルズ オブ ジ アビス IF
【出会いは唐突に】
私は、弓を学んでいた。
しかし、私の知っている兵士の方達は弓に精通している者はいても、私に教えられる人がいなかったそうです。
これは、お父様が後に教えてくださったことですけれど……
そして、私が十歳のある日───
「ナタリア、この者が以後教えることとなる教師だ」
「お初にお目にかかります、私は───」
お父様にそう言われ、横に控えていた男性が凛々しく頭を垂れた。
私は、その時の会話をあまり覚えていません。
頭を下げる時に、微かに見えたその方の目に心奪われてしまいましたから……
その後、お父様とその方は多少話していたのだけは記憶していますわ。
「まず弓をうつ時、貴女がやらなければいけない事は二つだけです」
「二つですか?」
私はその時、咄嗟にその二つがわからなかった。
「はい、たった二つです。ですけど……それが一番大切であり、絶対です」
「それはなんなのですか?」
「狙った場所に正確に当てる事と───相手を殺す覚悟を決める事です」
それを仰ったあの方の瞳は……悲しみに溢れていました。
「今日は授業はやめましょう、ピクニック日和ですし」
「え?」
あの方の唐突な行動には、いつも驚かされそしてわくわくさせてくれましたわ。
私とあの方とは三日か四日に一度、近くの山や川に出かけて行き、様々な事を教えてくれました。
薬草などの生えている場所や効果・使い方などや方向の調べ方……魚の取り方から獣の取り方まで様々
私は楽しかった。
でも、それよりも一番驚いたのはあの方がまだ十八歳であると言う事実でしたわ。
あの方の落ち着いた雰囲気や仕草から二十五歳くらいではないかと、ずっと思っていましたのに………やられましたわ
そんな日々が続き、私が十五番目の冬を迎えた時───
「今日が最後の授業となります」
っと、あの方は寂しそうに唐突に言いました。
私は信じられなくて、何度も何度も何度も聞き返しましたが、それは事実でしたわ。
「そんな……どうしてですの?」
「ある地方である事が起こったのです、私が直接行かなければならないほどの事が…」
「───」
「ナタリア、私は去ってしまう……だけど、またいずれ会うことが出来る……だから、泣かないで」
そう言ったあの方は私の涙を拭い、頭を何度も撫でてくださりました。
涙が流れ終えた私は、あの方に断言しました。
「もしもう一度会えましたら、私を貴女の伴侶にしてくださいな」
そう言われたあの方は少し驚いたようで、でもすぐにいつもの穏やかな顔になり───
「いいよ、もう一度会ってナタリアが私の事を変わらず好いていてくれたなら……伴侶にしよう」
そう答えた彼はその後、静かに私の元を去っていった。
あれから、もう三年───
「ようやく会えましたわね……」
「久しぶりだね、ナタリア」
ようやく見つけましたわ、私の愛しいあの方に……