第一話 【神様っていたんですか?!ってこれは!!】のお話
この作品は、劇場版を見た作者が茜雫を見てコレだ!っと心臓にズキューンっと衝撃が来たことが発端によって誕生した作品です。
この作品は【ご都合主義】の予定です。
ですので、そういうのが嫌いな方は読まない事をお勧め致します。











第一話

【神様っていたんですか?!ってこれは!!】のお話







日本某所にあるとある映画館

「か〜いいね〜〜これこそ俺が求めていた奴ってやつだ。」

俺は久々の映画で非常に機嫌が良かった。
最近は、仕事仕事で碌に外出をした記憶が……ない。



───だって忙しいんやからしょうがないやん。





そう思いに耽っているとコートのポケットから電子音が響く。
特定の着信音で相手が解り、苦笑いしながら携帯を取り出し通話ボタンを押して喋り始める。

「よう……どうした?」

『どうした?じゃねぇよ!
 いつになったら集合場所に来るんだよ!』

相手は相当お怒りのようだ。
俺は冷静に……。

「ん〜あと三十分後くらいか?」

『ちなみにその理由は?』

「BLEACHの劇場版の余韻を楽しむ為?」

『死ねボケ───プツッ』

吐き捨てられ切られた。
冷静にリダイヤルを押す。

『……なんだ?』

「すまん、冗談だ。」

『タチが悪いわ!
 ……まぁいい、早くこいよ。』

「うぃ。」

そう言って通話を切り、携帯をポケットへと戻す。
タバコを取り出し静かに咥え、火をつけてしばらくただなんとなく空を見て呟いた。

「あぁ……茜雫に会ってみたい。彼女にしてぇ!」



そして一面の青空だった空は急に曇り、雷が鳴り響いて声が聞こえた。





【その願い……叶えてしんぜよう。】

「やった!ってちがうわ!つうかそれときメモやんか!!」





喜びつつ先程のセリフに突っ込みを入れて俺の意識はブラックアウトした。






















どれくらい眠っていただろうか?

どれくらい意識を失っていただろうか?

どれくらい……どれくらい……小説を読む時間を無駄にしちまっただろうか?!

ってそこか?!

そして俺は胸が痛むのを感じ、無理やり目覚めた。

「いってぇぇぇぇ!!」

大声をあげて叫ぶ。

「煩い!」

怒られたうえに殴られました。
頭がガンガンしてすごく痛いですはい。

「痛い……ってなぜに殴られねばならぬ?!」

「てめぇが騒ぐからだろうが。」

「痛いんだからしょうがねぇだろ!てかここどこよってかアンタ誰よ?!」

「はぁ?俺の顔忘れたのかよ?」

「────」

考え中……考え中……記憶なし。

「知らん!」

「てめぇ……まぁいい、怪我による記憶障害だろう。
 もうすぐ四番隊が来る、それまで静かにしてろ。」

「は?四番隊?」

まるでブリーチじゃねぇか……でも、こいつの服装って死神の服?

「死神?」

「なに言ってんだお前?」

相手の死神?は俺を奇妙なモノを見るかのように見ている。
……なんかムカっとくる。

「てかここどこよ?」

「いいから黙ってろ、仕事の邪魔だ。」

再び殴られた。
今度は後頭部を思いっきり。
次会ったらシメテヤル……。

そう心に誓いながら意識を手放した。

















どれくらい眠っていただろうか?

どれくらい意識を失っていただろうか?

どれくらい……どれくらい……って二度ネタはあかんて!!

「───ん。」

白い天井……どこだ?
起きようと体を動かそうとしてみたが……。

「あれ?動かねぇ……。」

どうなってんだ?痛みはないが体に力が入らない。



───ようやく目覚めたか。


だれや?


───口を開いてそれか?最初からかわっとるのぅお主。


もしかして俺をこんな状況に叩き込んだ奴か?


───お主は願ったではないか……茜雫に会いたいと。


!まさかここは……。


───そうだ、お主が願った世界……【BLEACH】の世界だ。


色々突っ込みたいとこが多いんだがまずは……あんた誰なんだ?


───お主等が言う存在のようなモノだな。


神か……なんで俺を?


───……暇でな。


は?


───暇だったんで人間達を眺めてたら面白そうな小僧が面白そうな事を言っておったのでな、暇つぶしに実現させようと思ったとこじゃ。


なんかムカッと来たが我慢だ我慢……で、俺になにをやらせようって言うんだ?まさかこんな状況をタダでやってくれるわけないやろ?


───なに、わしは暇を持て余しとる。わしの暇つぶしになればいい、お主が夢を実現しようが途中で死のうがどうでもよろし。


ならいいさ、所で俺のスペックはどうなってるんだ?


───スペック?


能力とかそういうチカラ……この世界でやっていくには元のままじゃやってけねぇと思うが……どうなんだ?


───それなら心配無用じゃ、既存能力はないが鍛え方次第で強くなれるよう潜在能力はかなり良いようにしとておる。


俺……次第か。いいね、それはおもしれぇ。で、茜雫はいつ現れるんだ?


───今より半年後だ。


半年で茜雫を救えるくらい強くなれるのか?時間が足りないと思うが……。


───お主の記憶の中には様々な情報が入っておる、必要ならこの世界の情報だけでなく、他世界の技術や力の情報も入っている。使うには苦労すると思うが必要だろう?


たしかに……。


───この世界の詳しい設定とかは思い出そうと思えば自然に思い出せるようにしておる。その世界でのお主の現在の状況とかをな。あとこの世界のありとあらゆる情報も詰め込んでいる。


至れり尽くせりだな。


───では、そろそろ時間じゃの……。


時間?


───次に会うときはお主が死んだ時になることを願うぞ。


……色々ありがとうな、こんな面白い世界に送ってくれてよ。


───なあにお主が望んだことだ、それに……わしは暇じゃしの。


あんたが暇と思わないくらい楽しい話にしてやるさ。


───期待しとるぞ。







「……体が動く」

自称神との会話を終え、再び体に力を入れるとすんなりと体は言う事を聞いた。
試しに体を起こしてみようと力を込める。
たしかに起きる事は出来た。

かなりきつい激痛が走ったが……。

「……やっぱ絶対安静状態か。
 まずは俺の現在状況を調べないとな。
 たしか、思い出せばいいんだったよな?」

俺は言われたとおり思い出すように必要な事を調べ始めた。

「俺の名前は……元のまんまの泉崎 史樹(センザキ シキ)。
 十番隊所属の五席か……旅過事件から半月程と言ったとこか。」

思ったより時間がない、そう思った俺は漫画で見ていたあの場所に行く為情報を思い出す。

「……これだ、この情報か。」

すんなりと思い出した事に拍子抜けするが、これはブリーチの世界だから楽なのだろうと思う。
あの自称神もそんな事言ってたし。

「とりあえず隊長に会わないとな……」

そう思ったが体満足に動かない事を思い出した。

「そういや怪我してたんだったな。」

こういう怪我で一番効果的なのは……ベホイミかな?

───情報検索


───検索項目【ドラゴンクエスト 回復魔法 ベホイミ】


───検索中……検索中


俺の頭の中に言葉が浮かんだ。
だが、思ったよりなにもなく簡単なんだと思っていた。


そんな……矢先だった。


「がっ?!」

───情報発見


───情報の書き込み開始


その言葉が浮かんだ直後、表現出来ないような激痛が襲ってきた。

頭は張り裂けそうな頭痛が襲い。

体中は刺されたかのように激痛が襲ってきた。

余りの痛みに何度も意識を失いかけた……いや、実際に意識を失った。

だが、その痛みによって強制的に意識は覚醒し再び激痛に襲われまた意識を失う。

その繰り返しをどのくらいしただろう……。


数分?


数十分?


数時間?


そう錯覚するくらい長く激しい時間だった。

その痛みが徐々に収まり、呼吸も落ち着いてくる。



───情報の書き込みが完了しました。


「はぁ……はぁはぁ……つっ!べ……ベホイミ。」

そう言って俺は朦朧とする意識のまま、両手の手の平を自分に向けて唱えた。
両手は光に包まれ、その光は徐々に自分へと移ってくる。
その光に包まれると痛みが嘘のように引いてゆき、意識も段々とハッキリとしてきた。

「……はぁはぁはぁ……ったく!なんて代物を渡しやがるんだ!!
 最初に選んだのがベホイミだったから良かったもののったくよ。でも、体に傷はついてねえよな?」

そうなのだ、先ほどあれだけの激痛が全身を襲ったにも関わらず体のどこにも傷はついていなかった。
次第に荒かった息も落ち着いてきた。
そして、俺は一つの考えが浮かんだ。
……多分、合っていると思う。

「まさか……情報を俺の魂に刻んでいるのか?」

それだとしたらかなりきついかもしれない。
前もって必要なものを刻んでおかなければ使い物にならない。
色々調べる事が増えたな。

まずは……。

「隊長に会いにいくとしますか。」

そう言って俺はベッドから抜け出し、服を脱ぎベッドの傍においてあった死覇装を着込む。

「記憶はないけど……この体が記憶してるってことか。」

着終えた俺は興味深そうに自分の服装を見て感心していた。
だが、やらなければならない事を思い出し斬魄刀を腰に据え自らの隊長を探す為に部屋を出た。

「えーと……隊長隊長───隊長って誰だっけ?」

えーっと十番隊ってたしか子供だったよな……。

たしか名前は……。

「日番谷 冬獅郎だったっけ?」

なんとなく確認するように呟いた俺の言葉に返事があった。

「俺がどうしたって?」

「え……」

ゆっくりと……。

錆付いたブリキの玩具のようにゆっくりと……。

顔だけ後ろに向けると……。

噂の我が隊長こと……

「日番谷 冬獅郎……隊長。」

「お前はまだ病人だったと思ったんだが?」

俺の動揺とかを綺麗に流して鋭く質問してきた隊長。
うん、これでこそだな。
でもね、一番思った。

「ちっちゃい……。」

「あ?」

小さく呟いたのが聞こえたようだ。
冬獅郎のオデコにハッキリと青筋が浮かんでいてこっちを睨んでいらっしゃる。

「誰がちっちゃいだって?泉崎五席。」

「いえ、なんでもありません。隊長殿。」

「……まぁいい。で、さっきの質問だ。
 お前はまだ動けないんじゃなかったのか?
 報告では二週間程の入院がいるとか聞いたが……。」

冬獅郎は腕を組み、こっちを観察するように見ている。
───睨みながら。

「えーと……なにから話したらいいのやら?」

「……ついて来い。」

見かねた冬獅郎は溜息をつき、歩き始めた。
そして俺はその後を黙って歩く。


「(ぜってぇ殺される……)」

黙っていたのは恐怖によってだった……。




合掌




───まだまだ甘いの。ふぉっふぉっふぉ。




なぜか哀れむような視線で俺を嘲笑う神?の顔が浮かんでむかついたがな。












次へつづく